1.はじめに
犬にも尿漏れがあることはご存知ですか?
犬の尿漏れで一番わかりやすい原因は「加齢」によって筋肉が落ちることで締まりが悪くなるというものですが、実は若くして尿漏れを起こす犬もいないわけではありません。今回は尿漏れの原因とその解消法について紹介します。
1-1.犬の尿漏れの原因
犬の尿漏れの原因としては下記のものが挙げられます。
- 尿道括約筋の機能不全
この尿道括約筋の機能不全が最も一般的なものです。
尿道括約筋の機能不全には先天的なものと後天的なものがあります。先天的に尿道括約筋の機能不全は大型犬に多く見られます。一方、後天的な尿道括約筋の機能不全としては「雌犬の卵巣摘出の避妊手術」があります。また、加齢によって膀胱に尿を貯蓄しておく筋肉が低下してしまう場合も、尿道括約筋の機能不全に含まれます。
- 先天性の泌尿器の異常(=奇形)
生まれつき泌尿器に異常があり、奇形であることもあります。
1-2.犬の尿漏れの症状
犬の尿漏れの症状をいくつか紹介します。
- 睡眠中や興奮時におしっこが出てしまう。(犬が寝ていた場所がおしっこで濡れている)
- 歩行中にポタポタとおしっこが垂れる
- 排尿の回数が増える
- 陰部を執拗に舐める様子が見られる(あまりに執拗に陰部を舐めている場合は、陰部が炎症を起こしている場合もあります。)
上記のいずれか、またはいくつか心当たりがある場合は尿漏れを疑い、動物病院で詳しく診てもらう必要があります。
1-3.犬の尿漏れの解消法
犬が尿漏れになった場合、その原因によって解消法が変わってきます。今回は「尿道括約筋の機能不全」「先天性な泌尿器の異常(奇形)」の原因に対する解消法を紹介します。
- 尿道括約筋の機能不全の場合の解消法
尿道括約筋の機能不全の場合、尿道括約筋の収縮機能が低下しています。その為、尿道括約筋の収縮機能を増強するホルモン剤や抗痙攣剤など、薬物による内科治療を行うことが一般的です。
- 先天性な泌尿器の異常(奇形)の場合の解消法
先天性の泌尿器の異常(奇形)の場合、排尿器官の器質的な異常や中枢神経の障害があります。その為、外科治療を行うことが一般的です。ただし、外科治療だけでは症状が安定しない場合や治療が十分でない場合には、内科治療も合わせて行う場合があります。
以上の2つ以外にも、症状によってはサプリメントを服用することもできます。サプリメントでは尿路組織と膀胱括約筋の結合性を強化してくれるものがあり、尿漏れの症状に効果があるとされています。
1-4.最後に
先に紹介したように、尿漏れと雌犬の卵巣摘出の避妊手術には深い関係があることがわかってきています。愛犬が卵巣摘出の避妊手術をしているという家庭も多いかと思いますので、避妊手術をしている場合は特に日頃の愛犬に注意することが大切です。また、尿漏れは先天的な原因で発症することも少なくありません。早期発見が早期治療につながりますので、よく愛犬を観察しておくことが大切です。
最後に、運動量が落ちると老犬になった時に尿漏れを発症しやすくなるとも言われています。是非毎日の散歩によって「毎日一定量歩く習慣」をつけておくことも、尿漏れの予防に繋がる大切なことです。
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