愛犬の足が腫れてしまった、これは病気なのか?病気だとしたらどのような症状なのか?対処法は?などなど、突然の症状が発症したら焦ってしまう飼い主さんも多いかと思います。
ここではそんな飼い主さんへ向けて愛犬が足を腫らしてしまったときの原因と対処法についてお伝えしていきます。
目次
1.犬の足が腫れるのは病気のサイン?
犬にとって「足が腫れる」という症状が現れる病気やケガは意外と多いものです。それらすべての病気やケガを知っておくことはできませんが、毎日の生活で沢山愛犬の体を触れる機会があれば飼い主が早期発見することができます。そこで、今回は足が腫れる病気の中から特に知っておくべきものをおつたえしますので、それらを読んだ上で飼い主と愛犬との日々のコミュニケーションに生かしてもらえれば幸いです。
足が腫れる病気①骨肉腫
骨肉腫とは、骨にできるがんのことです。骨肉腫は激しい痛みを伴い、足を引きずりながらあるいたり、足が腫れるといった症状が現れます。骨肉腫の進行は早いうえに移転しやすく、発見された時点ですでに肺などの他の器官に転移していることも多く、とても深刻な病気です。骨肉腫の原因ははっきりとわかっておりませんが、大型犬に多く発症するものだとされています。(例えば、ゴールデン・レトリーバー、グレート・ピレニーズ、ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキーなど)発症の時期は7歳前後の犬に多いとされていますが、まれに2歳頃に発症する犬もいます。
骨肉腫は転移しやすいため、腫瘍を発見したら腫瘍のある足を切断し、手術後に抗がん剤を打つという治療法が一般的です。また、足の切断はせずに放射線治療を行う場合もあります。ただし、骨肉腫の完治は大変難しく、再発することもあるとされているので、早期発見が重要になります。
足が腫れる病気②指間炎
指間炎は指の間や肉球周辺にできる皮膚の炎症や赤い腫れのことです。指間炎では、指と指の間に炎症が見られることが多く、赤くはれて化膿することが多くあります。犬自身も気にして、何度も噛んだり舐めたりすることで症状が悪化していくのも特徴の一つです。最初はかゆみが生じるだけだったものが、次第に腫れてきて、触ろうとすると嫌がるようになります。症状が悪化すると膿が発生して脱毛することもあります。指間炎症の原因には、指の間の汚れや肉球の汚れ、雑菌の繁殖などがあります。指間炎になると足を消毒し、清潔にすることで治療していきますが、指間炎は治りにくく、完治しても再発する可能性が高いものです。
その為、指間炎になる前に予防することが大切です。具体的には、指の間や肉球に汚れが溜まらないように足の裏の毛をこまめにカットしたり、手を洗うことです。ただし、頻繁なシャンプーは皮膚バリア機能を低下させてしまうので、普段はぬるま湯を絞ったタオルで拭いたり、薄めたシャンプーで洗いしっかりすすぐことが大切です。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、免疫器官であるリンパ節に何らかの原因で腫瘍性をもったリンパ球が留まり、腫瘍となって広がる病気です。腫瘍ができる場所は足の付け根の他にも、あごの下や脇の下、胸腔や腹腔などがあります。大半は体の表面にあるリンパ節が腫れるという症状が現れます。これらの症状が2か所以上あると悪性リンパ腫の可能性が高いと考えられます。
その他の症状としては、徐々に元気がなくなり、食欲が低下していきます。しかし、これらは劇的な変化ではないため、悪性リンパ腫の早期発見は難しいとされています。その一方で、発見が遅れ、何もしないでいると、発症から3か月程度で死に至る場合もあるため、早期発見はとても重要です。
悪性リンパ腫の原因ははっきりとはわかっていませんが、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、ボクサー、バセット・ハウンド、セント・バーナードなどの犬種に多くみられることが分かっています。
治療は化学治療が一般的で、抗がん剤の投与が行われますが、リンパ腫のタイプや進行の過程によって治療方法は変わるため、獣医師の診断が不可欠です。
2.【感染性関節炎】犬の足が腫れるのは炎症(症状)のサイン?
上記の病状と合わせて知っておきたいのが「汗腺性関節炎」という症状。この症状にあたるワンちゃんも多くいます。
感染性関節炎の症状について
まずは感染性関節炎についてお話しします。
感染性関節炎とは、なんたかの病原体が関節の中に侵入することによって炎症が生じている状態を指します。感染性関節炎になった時の代表的な症状を以下に紹介します。
- 元気がなくなり、運動を嫌がるようになる
- 足を引きずるようにして歩く
- 関節付近に外傷がある
- 関節が腫れている
- 関節を触ると嫌がる
これらは一例ですが、足に痛みがあるためあまり活発に動けなくなる傾向があります。
感染性関節炎の原因について
では感染性関節炎は何が原因で発症するのでしょうか?以下にまとめさせていただきました。
傷口からの侵入
最も多いのが「傷口からの侵入」です。皮膚に傷がつき外傷ができることで、そこから菌が関節に侵入します。外傷ができるケースとしては、転倒や衝突、交通事故や手術痕などがあります。
怪我をした場所と関係なく、複数の関節で炎症が起きている場合
炎症を起きている場所が1箇所ではなく複数ある場合、病原菌が血液にのって全身を巡っている可能性が考えられます。
免疫力の低下
免疫力が低下することで、普段なら予防できるはずの病原体の繁殖を抑えきれなくなり、関節炎になる場合もあります。
感染性関節炎の治療と予防方法について
治療法
では感染性関節炎になるとどんな治療法があるのでしょうか?
まず、感染性関節炎が疑わしい場合はすぐに動物病院に連れて行くことが大切です。動物病院での血液検査や関節液検査などで詳しく診断してもらいましょう。主な治療は投薬にによって行われますが、発見が遅れて進行が進んでいる場合は外科的治療が行われることがあります。
また、あまりにも痛みがひどい場合は鎮痛剤を使用しながら治療を進めていく場合もあります。投薬治療の場合は6週間ほど投薬を行うことが通常なので、その期間は飼い主がきちんと愛犬の安静できる環境を作って治療に専念することが大切です。
予防法
では、そもそも感染性関節炎を予防するにはどうすれば良いのでしょうか。
感染性関節炎の原因を踏まえると「衛生管理」「免疫力の向上」で予防することができます。
「衛生管理」については、怪我をした場合は衛生を心がけることが重要です。
「免疫力の向上」については、ストレスと栄養状態の管理が重要になります。
免疫力はストレスがあると下がってしまうので、愛犬が運動不足や留守番が多いなどのストレス環境にならないよう、飼い主が環境を整えることが重要です。
【補足】
散歩など、動くことが大好きな犬にとって感染性関節炎は辛い病気ですので、できるだけかからないように飼い主が予防してあげたいですね。
そして実際、感染性関節炎は予防によってその感染を大きく抑えることができる病気です。感染性関節炎について事前にしっておくことで、怪我をした時の対処や普段の生活環境の見直しの参考にしてみてください。
3.犬の足の付け根が腫れたらどんな症状?
すこし細かい話になりますが、愛犬の足の付け根が腫れあがってしまうケースも多いので、犬の足の「付け根」が腫れてしまった場合の考えられる症状・対策も合わせて知っておくと良いですね。付け根の腫れあがりによって考えられるケースは以下のようになります。
【脂肪腫】
脂肪腫は内股に脂肪の塊が出来て少しずつ大きくなって行き、歩き方に違和感が出てくることがあります。
【悪性リンパ腫】
悪性リンパ腫は股の付け根やあごの下などを始め様々な所に発症します。
【骨肉腫】
骨肉腫は代表的な悪性の骨の腫瘍です。足が腫れて足を引きずって歩くなどの症状が出ます。
これらは、犬の足の付け根や股の部分などに腫れが発症するといわれている病気の代表的なものです。
脂肪腫の関しては、内股だけではなく「お腹」や「胸」「わきの下」にもできるといわれています。脂肪腫の特徴はとても弾力があり形も楕円形と言われています。原因不明の場合が多いですが脂肪腫は若い犬より比較的老犬に見られます。
悪性リンパ腫に関しては、どこに癌ができるかによって腫れてしまう場所も違ってきます。基本的には癌化した部分が腫れて、元気がなくなり食欲低下、嘔吐や下痢なども見られる場合があります。リンパ腫も脂肪腫と同じく原因が不明なため、予防していくのにとても難しい病気になってます。
愛犬の健康を守るためにも、毎日愛犬のボディーチェックは行っておきたいところですね。
4.家族にできることは?
基本的に脂肪腫や悪性腫瘍、骨肉腫は原因がはっきりせずに不明なことが多いようです。ドッグフードや犬のおやつに含まれる合成着色料や添加物なども癌の原因とされているので、それらも病の発症の一因にはなっている可能性もあります。
少なくとも、足の付け根が腫れてしまうということは、犬にとってはとても痛いでしょうし、苦しいでしょうし、なんといっても飼い主さん自身が気になって仕方がないでしょう。
痛みは時間がたつほど、どんどんひどくなっていくので、もし、愛犬の変化が見られたらすぐに獣医師の診断を受けることが一番大切です。
日頃から、愛犬の体を触り、ボディーチェックしてあげることで、少なくとも、愛犬の変化を感じ、病気の早期発見に努めることができると思います。
このように、大切な愛犬の健康維持のためにも病気の早期発見をしてあげて、早期治療をしてあげることに努めてください。
5.まとめ
今回は足が腫れる病気として代表的なものをいくつか取り上げましたがいかがでしたでしょうか?
足が腫れる症状がでるものには他にも病気やケガが多くあります。それらの病名をひとつでも多く知っておくことも大切ですが、何よりも飼い主が早期発見することが重要になります。
その為には普段から愛犬のブラッシングやケアを通して、普段から愛犬の体をくまなく触れることが大切です。
今回の記事が普段の愛犬への接し方の参考になれば幸いです。
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